スタッフの思い(3)小原さん

 
わたしが初めて、たきざわくるみさんの絵を知ったのは震災後、道の駅で売られていたかわいい缶バッジでした。なんとも可愛くユーモラスで、でもちょっと怖いような、不思議な魅力のある絵で、わたしはそのときからくるみちゃんファンになりました。

ご縁があって南相馬ファクトリーさんから依頼を受けて、くるみさんのキャラクターからイメージして生まれてきた「ふくの島」という世界の展覧会のお手伝いをさせてもらうことになり、一年間くらい、どんな風にふくの島の世界を描こうか悩みなやみ、そうしてワクワクもしながら描きました。不思議な時間でした。それは深〜く「ふくの島」やくるみさんの絵を見つめる時間でした。くるみさんといっしょに旅しているような…。

ふくの島には、ハマー、ナカマン、アヅなど、妖精のような不思議な住人たちがすんでいて、その一人ひとりはなんだか自分の近くにいる誰かだったり、自分だったりに似ているようで、そのキャラクター設定を読むとついニッコリしてしまいました。そして、くるみさんの描いた住人たちの表情はなんともなんともこちらに元気をくれるのです。にひひひと笑いながら…。

ハマー、アヅ、ナカマンをみていたら、わたしは小さな頃、ずっとベッドの枕元にいてくれたチョビ、ラス、チビという3人のぬいぐるみのことをふと思い出しました。自分が悲しいときも嬉しいときも3人のぬいぐるみはいつも、そっとそばにいてくれました。

くるみさんの絵にはなんだかそんな深いあたたかさと、元気が湧いてくる強い力があるんだなぁと思います。今年の3月から職場でもある、福島の伊達市のりょうぜんこどもの村で、「ふくの島展2018in霊山こどもの村」展を南相馬ファクトリーさんとの共催で開催しています。くるみさんの描いたふくの島のキャラクターたちの原画も沢山展示してあり、その部屋でも、こどもたちと一緒に、ふくの島の絵をみたりしながら、いろんなワークショップをしてきました。

ふくの島をいつも照らすサンジイサンみたいなくるくる回るコマ、くるくるサンをつくったり、ひまわりみたいな、お日さまみたいな ライオンみたいなお顔のナカマンのようなキラキラのお星さまや植物の種を詰め込んだマラカス、シャッカマンを作ったり! ベニヤ板20枚をつなげて、みんなで、ふくの島の絵を描いたり!

こどもたちと、ふくの島の住民たちが、ほんとうにお話ししているみたいに、ワークショップを通してどんどん近くに仲良しになってきました。紙に描いた世界なのに、なんだかとっても不思議で、でもとっても素敵な魔法のようでした。ワークショップを一緒にしていたお母さんから、くるみさんの描いたふくの島のキャラクターたちの絵はとっても元気をもらえる絵だから、こども部屋に、大きなポスターにして飾りたい!と言われてなんともうれしくなりました。そうですねぇ、このキャラクターたちにみつめられてると、なんだか元気になっちゃいますよねぇ!と一緒に話しました。ふくの島の住人たちはいつも、みんなの心に寄り添ってくれているのだなぁとまたあらためて感じました。

先日、木のハガキでお手紙だそうよ!というワークショップを行いました。こどもたちが大切な誰かに絵手紙を描いて、それをヘナヘナさんに届けてもらおうねといって、小さなお家の形のポストに入れて預かりました。ヘナヘナさんも、ふくの島の住人で、のんびり屋さんでお手紙がいつ届くかわからないというキャラクター設定。こどもたちにヘナヘナさんは大人気で、絵手紙の中にもヘナヘナさんを描いてくれるこども達がいっぱいでした。

みんな大好きなお友達や、自分のお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、夏にキャンプでお世話になった〇〇さんへなど、それぞれ楽しみながら、大切な誰かを想って、お手紙を書いてくれました。自分に書くよ!という子も。お手紙を書くのははじめてー!という小さな女の子も、ヘナヘナさんの小さなポストにお手紙を入れてにっこりしてくれました。なんともステキな時間でした。時間の流れかたが、ヘナヘナさんのおかげか、少しゆったりゆっくりしているなぁと感じました。

この霊山の山の中の自然いっぱいのミュージアムと、くるみさんの描いたふくの島の住人たちの世界はなんだかとってもあっているような気がして、ミュージアムの外の緑のなかからふくの島の住人たちがニコニコニヤリと笑っているような不思議な感覚になりました。ここ、こどもの村の遊びと学びのミュージアムはハンズオンがテーマのチルドレンズミュージアムです。こどもたちが、見て、触れて、感じる!という体験を沢山たくさん、してもらえたらと、私たちは、いつも展示とワークショップを考えています。

今回、ヘナヘナさんにお手紙を届けてもらおうというワークショップをやってみて、なんだか時空をも超えて何かをヘナヘナさんは届けてくれるのではないかなぁとワクワク想像してしまいました。手紙ってとっても不思議な力がある気がして…。私は大好きな絵描きの先輩からもらった手紙が自分が絵のことでスランプになっているとき、ふと部屋から出てきたことがありました。その手紙をくれた先輩はもうこの世にはいないのに、その手紙を読んだとき、いまここにその人がいてくれてお話してくれたような気持ちになって励まされました。こどもたちが書いた手紙も今届いた先の大切な誰かだけでなく、いつか時空を超えて誰かを、もしかしたら自分自身を元気付けてくれたりもするのかも!

そんなステキなヘナヘナさんの大きな大きな郵便ポストを、今年の夏休み、こどもたちみんなと作れたらいいなぁとこどもの村のミュージアムスタッフと、南相馬ファクトリーさんと、話しました。そうして、そのときにみんなでワイワイこどもたちと、ふくの島の住人たちに変装したりしながら、スタンプラリーでふくの島の住人たちと出会えたりしたら楽しいだろうなぁと、夢がどんどん膨らみました。その様子や、みんなとの楽しいワークショップの内容なども、youtubeなどで、配信できる機材や場所の設備なども整えてられたら!と、夢は大きくなりました。

絵本の中の世界がほんとうになったような、くるみさんから生まれた「ふくの島」の世界をこどもたちに体験してもらいたいなぁ!と! 幼いころの原体験は、きっと、そのこどもたちの大人になったときの生きる力になると信じています。この、こどもの村にくるこどもたちにその体験をしてもらえたら幸せだなと。

こどもたちと一緒に、このほんとうの「ふくの島」をつくるために、力を貸してくださるボランティアさんと、そのワークショップとイベントを開催するための資金をクラウドファンドに挑戦して、集めたいと思っております。ほんとうの「ふくの島」をこどもたちと一緒にこどもの村に!!

みなさん、応援よろしくお願いします!